60’s リヴァイヴァル・・・??
今、UKでは微妙に、60年代リヴァイヴァルがやってきている感じです。
なんだか、「ニュー 60’s」 と呼ばれているとか、いないとか・・・。
(UKのメディアはとにかく音楽シーンをジャンル分けし、名前を付けることが好きで、名前が付いた途端にシーンは一気に縮小するというお約束がありますんで・・・)
数年前から、音楽シーンは80年代のリヴァイヴァル・ブーム。FRANZ FERDINAND 以降のニュー・ウェーヴやポスト・パンクに始まり、MADONNAの名盤 『Confessions On A Dancefloor』 のようにド派手なエレ・ポップもあり。ラウド・ロックやスクリーモに見るメタル人気だって、80年代回顧と言えるでしょう。
90年代に音楽の先端を追ってるつもりの頃は、「メタル」 なんて恥ずかしくて口にも出せなかったんですから(笑) ところが今はどうですか? ENTER SHIKARI とか、サイコーですよねー!
そんな僕が 「80年代が本格的にキてる!」 と実感したのは、GWEN STEFANI の1stソロ・アルバムがリリースされた時でした。あそこまで80年代という時代性をコンセプチュアルに表現した作品は、当時としては相当早かったはずです。最初は、「何?コレ!?」 ってな感じで、その意図がわかんなかったもん(笑)
ファッションも一緒だと思いますが、やっぱり単純に、十年前が一番ダサいんですよ。
20歳にもなる人間は皆、10年くらい前の事なら経験してるんだもん。
だって、今やどうですか? 「裏原宿」 って・・・(遠い目)。
それが20年前となると、知ってる人には懐かしさが、知らない人には新鮮さが感じられる。そんな丁度良いタイミングなんだと思います。例えば、ニルヴァーナ等のグランジ/オルタナティヴ・バンド。それぞれの音楽は90年代の金字塔だとしても、あの時代特有のネガティヴなメンタリティって、今の時代には全くもってそぐわないですしね。明るいミュージシャンがバカにされていた時代でありました・・・。
(って事は数年後に、また暗~いロックが流行るのかな?)
で、ようやく本題に戻ります。
80’s ブームはやってきましたが、その同心円上にある 60’s ブームも、ようやくやってきたようです!
何故に 80’s が突然イコール 60’s なのか? と言いますと、
僕、80年代の音楽には、60年代の影響が強い気がするんですよね。
で、前後の70年代と90年代には、60’s 風って結構少ないんですよ。
(あ、90年代のブリット・ポップは60’s のリヴァイヴァルだったけど)
80年代のポピュラー音楽。WHAM!とか、MADONNA とか、CYNDI LAUPER とか KYLIE MINOGUE とか、所謂ポップス系には、雰囲気や曲のメロディー・ラインに、モータウンだったり、フィル・スペクターの 「ウォール・オブ・サウンド」 といった、60’sポップスの影響がよく感じられます。
日本でも大滝詠一師匠の 『A LONG VACATION』 があったし、山下達郎先生も全盛に。そうそう、アイドルの曲で入れる合いの手、『パン、パパン (ヒュー!)』 は、完全にロネッツの 「Be My Baby」 のビートでしょ!?
今、ワム!の 「Freedom」 に、シンディ・ローパーの 「Girls Just Wanna Have Fun」、 バングルス 「Manic Monday」、さらにベリンダ・カーライルの 「Heaven Is A Place On Earth」 を聴きながら書いていますが、これら、モロじゃなくてもどこか60年代風です。
ってな訳で、80’s が流行れば同時に60’s も来るんじゃ? と思っていた矢先に、キてます!
まず最初。その演出されたヴィジュアルと、楽曲、そしてロリータ・ヴォイスが堪らなく可愛らしい LUCKY SOUL。アルバム 『恋はゴージャスに』(すげえ邦題・・・) で日本デビューしました! 三十代前後には、初期CARDIGANS のようなスウェディッシュ・ポップも彷彿とさせます。バッチリと決め込んだ衣装同様、楽曲も練りに練られた粒揃い。ヴォーカル嬢にばかりスポットが当たりがちですが、後ろの野郎共の中にとんでもない指揮官がいると、僕は踏んでおります。マジで良いバンドなので、一発屋として終わるのだけは避けて頂きたいです、関係者各位。
続いて、CANDIE PAYNE (キャンディ・ペイン)。アルバム 『I Wish I Could Have Loved You More』 がリリースされました。彼女のお兄ちゃん2人が、THE ZUTONS と THE STANDS という、ある意味で音楽エリートのお嬢さん。60年代のムーディな映画音楽をブリストルで鳴らしたような、ポーティスヘッドを思わせるダークな質感を持った音像が印象的です。かなり本物の予感がします。
そして、サマソニの一発目を飾った3人娘、THE PIPETTES (ザ・ピペッツ)! 輸入盤で既に話題のアルバム 『We Are The Pipettes』 が、10月に日本でもリリースされます。ルックスから楽曲から全て、まるでロネッツやクリスタルズといった往年のガールズ・グループを現代に蘇らせたよう。キュートでキッチュでポップでハッピーで、ウキウキな気分にさせられます。とことんイメージ戦略がバッチリな彼女たち。やはりコチラも裏に、とんでもないブレインがいる気がしますね。それもどこかフィル・スペクターを想像させてくれて、嬉しい限りです (← 妄想な訳ですが)。 ※ 左のジャケットはシングルです
さらには、USですが、GARBAGE の新曲 「Tell Me Where It Hurts」 も60’s風なんですよ!
と、近々リリースされた (もしくは、これからされる) アーティストを見るだけでも多数。他にもUKのヒット曲を聴いていると、明らかに60’sを意識したものが多く見受けられます。
この波は確実にキそうですよ! フィル・スペクターのファンである僕としては、UK から目が離せなくなりそうです。