2008/3/31

●【棺桶アルバム】 X / Jealousy

> ROCK と XX, 音楽雑談 — サイトウD @ 13:00:03

皆さんどうですか!? ネットやテレビ各局のワイド・ショーのどれを観ても
X、X、X、X、X、X、X、X ・・・。お祭りですよお祭り。
一時代を築いたバンドというのは、時代を超えてこれほど影響力を持っているという事を、
まざまざと見せ付けられた印象ですね。
先日のLED ZEPPELINの再結成も、きっとイギリスではこれくらいの話題性だったのでしょう。
ライヴの内容においては賛否両論 (主にトラブルだらけの初日、「破壊の夜」 に関して) でしたが、
そんな話題を含め、まさに完全なる X JAPAN であったと感じています。
X JAPAN って当時も、GUNS N’ ROSES と全く一緒で、ライヴが終るまで何が起こるかわからず、
常にヒヤヒヤものだったと思うのです。そこまで完全再現された気がしてしまいます(笑)
で、今回の棺桶アルバムはコチラ。

Jealousy REMASTERED EDITION
◆ X / Jealousy (1991年)

世間的には、ジャパニーズ・ヘヴィ・メタルの新境地を切り拓き、
BLUE BLOOD REMASTERED EDITION加えて後に 「ヴィジュアル系」 と呼ばれるジャンルの魁となった
ファースト・アルバム 『BLUE BLOOD』 の方が人気なのかもしれません
(とりあえず周囲ではそうです)。
ですが、サウンド/楽曲のクオリティが極めて高く
(今聴いても、音に関しては全く劣化していない!!)、
メンバー全員それぞれが持つキャラクターが遺憾なく発揮され、
バンドの世界観がある種の完成形をみせたこのアルバム 『Jealousy』 を、
僕は X 史上最高傑作であり、黄金時代だったと認識しています。

1曲目、「Silent Jealousy」 のメロディーとアレンジ、サウンド構築は美の極みであり、
メタル界で言うところのネオ・クラシカルの範疇を軽々と超えて見せた、まさに名曲。
ジャパニーズ・メタルにおけるひとつの到達点であるとも言えるでしょう。
僕は後のエックスが、この曲のような重々しく壮大なスピード・メタル・ナンバーを
ほとんど書かなくなってしまったことが、本当に悲しかったんですよね・・・。
他にも YOSHIKI 作で言えば、バラードの傑作 「Say Anything」
インディーズ時代から人気の高速スラッシュ・メタル・ナンバー 「Stab Me In The Back」 と、
ライヴのハイライトになっている曲が勢ぞろいしています。

加えて、HIDE (当時は大文字) が持つ退廃的でグロテスクな、
どこかSM風な世界観が思いっきり表に現れてきたのもこの作品。
後のソロ・デビュー作に繋がるような、斬新でゴシックなメタル・ナンバー 「Miscast」
ファーストから続く軽快なR&R 「Joker」、そして不穏な雰囲気を醸し出すインスト 「Love Reprica」 と、
HIDEのイメージが確立されているように感じられます。

加えて、僕が敬愛して止まないギタリスト、
PATA による可愛らしく美しいアコースティック・インスト小曲
「White Wind From Mr.Martin ~Pata’s Nap~」
PATA作の曲が唯一収録された、貴重なアルバムでもあります。
僕はPATAに憧れて、中学一年生のとき、レス・ポールのコピー・モデルを購入しました。

そんな中、このアルバムを聴いていた中学生当時に比べ、音楽経験値を格段に増やした現在。
嘆息してしまうほど素晴らしい楽曲が、2曲あったことに気付いたのです。
後にバンドを脱退してしまうベーシスト、TAIJI 作による、
「Desperate Angel」 と、「Voiceless Screaming」 です。

完璧に日本人離れした、土臭い王道ハード・ロック・ナンバーの 「Desperate Angel」。
以前からベースのテクニックには定評のあったTAIJIですが、この曲で、そのテクと共に、
とてつもない作曲能力がある事まで示してくれたのです。
加えて、アコースティックのバラード、「Voiceless Screaming」。
本当に、もう素晴らしいとしか言いようのない楽曲です・・・。
TAIJI はベースではなく、ガット、12弦、フォークと、アコースティック・ギター各種を巧みにプレイ。
さらにその楽曲は、ブリティッシュ・トラッドのスタイルをベースとされており、
レッド・ツェッペリンやUKのプログレ・バンドも舌を巻くほどに美しく深遠で、ドラマチック。
フルートとストリングスも加わり、描き出すその風景はイギリス・欧州の深い森そのもの・・・。
幅広く豊かな音楽の知識、抜群のセンス、卓越したテクニックとが三位一体となった、
エックス史上に名を残す珠玉の名曲であると、今になって感じています。

一旦、エックスを卒業した僕をもう一度呼び戻してくれたのは、
まぎれもなくこの2曲の素晴らしさだったのです。
だから僕にとって、今となっては、TAIJI こそがエックスなのです。
今、世間的に無かったことにされていようとも・・・・・・。

ですからあくまでも、 X JAPAN ではなく、X が好きな僕です。
僕は TAIJI が復活し、X が再結成してくれる日を、心待ちにしています。
そして、バラードよりも、ガッツガッツにヘヴィなメタル・チューンを聴きたいのですよ!
この意見は、決して少数じゃないと思っていますよ!!